—放課後等デイサービスを始めようと思ったきっかけを教えてください。

小澤:
「生山さんは元千葉ロッテマリーンズのプロ野球選手という、この業界では本当に珍しいご経歴です。そこからなぜ、放課後等デイサービスだったのでしょうか。」
生山様:
「出発点は2020年の秋、妹から『放課後等デイサービスを立ち上げたい』と相談を受けたことでした。きっかけは、妹の子どもにダウン症があったことです。当時は就学前で、地域の保育園と児童発達支援事業所に通っていました。ただ、家族の誰にも福祉の経験がない。『我々、何の知識もないよね』というところからのスタートでした。」
小澤:
「そこから開所まで、約3年かかっていますね。」
生山様:
「妹から相談を受けた時点では、具体的な時期までは決まっていませんでした。ちょうど私が野球のコーチ業を始めるタイミングだったので、『2年だけコーチをやらせてくれ』と妹に頼んで。その2年間も含めて水面下で準備を進め、結果として相談から3年後の開所になりました。」
—開業までの3年間、どのような準備をされたのですか?

生山様:
「妹はまず、保育士免許を通信で取得しました。保護者として放課後等デイサービスを利用してはいるけれど、支援者側の経験がない。そこで独立を前提に働かせてもらえる事業所を探して、実務経験を積みました。」
小澤:
「準備を進める中で、見えてきた課題もあったのでしょうか。」
生山様:
「そうなんです。特に気になっていたのが、中度の障害をもった子どもたちの居場所です。経営を考えると軽度の障害をもったお子さんを預かる方が成り立ちやすいので、中度の障害をもった子の居場所はどうしても少なくなる。妹の子どもがまさにそうで、重度の障害をもった児童が通う事業所では物足りないし、軽度の障害をもった中心のところではついていけない。
だからこそ、妹が保護者として放課後等デイサービスに求めるものを全部盛り込んだのが、シーズステップなんです。」
小澤:
「『障害児のための学童』とは絶対に言わない、というお話も印象的でした。」
生山様:
「これは妹が最初から強く言っていたことです。目的は保護者さんの休息時間、そして、その休息時間に子どもの成長をサポートすることができる療育。そこはブレさせたくない、と。」
小澤:
「その療育の中身は、どのように作っていかれたのですか。」
生山様:
「私たちには知識がありませんでしたから、妹が探してきた日本ビジョントレーニング普及協会という団体で、みんなで一から学びながら、教育の根本を作っていきました。」
—放デイラボに依頼を決めた理由は何でしたか?

生山様:
「ご紹介です。妹が独立前提で働いていた事業所の顧問行政書士が小澤さんで、いよいよ指定申請を進めるタイミングになったとき、その事業所の代表の方から紹介していただきました。」
小澤:
「他の事務所やコンサルとの比較はされましたか。」
生山様:
「していません。経営していると毎日が選択だらけなので、直感を大事にしているんです。決め手になったのは、小澤さんの『振り切り方』でした。まず『放デイラボ』という名前がそうですよね。
介護分野から始まって、いまは放課後等デイサービスに完全に特化している。発信を見ても、放デイのことばかり考えていらっしゃる(笑)。
私の中で『変態』は最大限の褒め言葉なんですが、初対面から小澤さんには、その変態性を感じました。どんな業界でも、覚悟を持ってそこまで振り切らないと、プロにはなれない。オタクであることは、プロであることなんです。」
小澤:
「最大限の褒め言葉として、ありがたくいただきます(笑)。」
生山様:
「もう一つはnoteです。ご相談する前から小澤さんのnoteを読んでいて、『アスリートのセカンドキャリアとして放デイの運営がいい』という記事をピン留めされていた。
私は以前からアスリートのキャリア問題に対して様々な取り組みをしていたので、まさに関心が強いテーマだったんです。そこに綺麗に飛び込んだ、というより捕まった感じですね(笑)。」
小澤:
「私にとっても、元プロ野球選手とお話しするのは人生で初めてで。せっかくなら野球の話をいろいろ聞いてみたい、というところから始まりました(笑)。
ご依頼いただいた後には東京の事務所まで遊びに来てくださって、2人でラーメンを食べに行ったのもいい思い出です。引退後にウェディングプランナーとして蝶ネクタイをトレードマークにされていた話など、生山さんは『どうすればお客様に選ばれるか』を考え抜いてキャリアを切り拓いてこられた方。その姿勢は事業所の運営にもそのまま表れていると感じています。」
—現在は、どのようなサポートを受けていますか?

生山様:
「顧問契約でお世話になっています。日々の実務は妹の岸本がすべて回してくれていて、普段のやり取りも岸本と森井さんが中心です。
今回の取材を受けるにあたって、岸本と『放デイラボさんにお願いして何がよかったか』を話したんですが、まず出たのは、行政への提出書類が本当に多いこと。制度も変わりますし、自治体によって話が違ったりもする。経営者仲間がいても、地域が違えば参考にならないことも多いんです。そんな中で、なんでも気軽に相談できる存在がいるのは、本当に心強いし、安心です。」
小澤:
「制度も、自治体ごとの運用も、本当によく変わりますからね。」
生山様:
「そうなんです。それともう一つは、私が元野球選手というだけで、良くも悪くも目立つということです。おかしなことをすれば、簡単に記事になってしまう。これは研修などの場でも、小澤さんから繰り返し言われていることです。だからこそ、制度に基づいた盤石の体制で運営できているのは、すごく助かっています。」
小澤:
「シーズステップさんは、何をうちにお願いしたいのかが非常に明確なんです。普段の手続きは岸本さんがご自身で対応されて、変更届や報酬改定のような、複雑で事故が起きやすい部分だけご依頼いただく。顧問のパッケージにオプションを組み合わせて、シーズステップさんに合った形で関わらせていただいています。」
生山様:
「先日も、社労士さんから就業規則の整備についての連絡があった際、どこまでお願いするかを岸本が整理して放デイラボさんに相談したら、『雛形がありますよ』とすぐに送ってくださって。それをもとに自分たちで対応できました。プロに任せる部分と自分たちでやる部分を、その都度相談しながら決められるのがありがたいですね。」
小澤:
「ご兄妹でここまで役割分担ができているのは、本当に珍しいんですよ。お兄様がエンターテイナーとして外に出て、妹さんが実務を形にしていく。多くの経営者の方は1人で抱え込んでしまうので、『ひとまず丸投げ』になりがちなんです。生山さんたちはご兄妹でちゃんと話し合って、専門家に任せる部分と自分たちでやる部分を判断されています。」
生山様:
「手前みそながら、妹がめちゃくちゃ仕事ができるんです。実務の判断は基本的に任せきっています。兄妹仲がいいというより、タイプが真逆で、お互いにできないことをやり合っている。チームとして、ちょうどいいバランスなんだと思います。」
—特に印象に残っているエピソードはありますか?

岸本様:
「開所後、約半年で初めての報酬改定を迎えた際には大きな不安がありましたが、さまざまな質問に迅速かつ丁寧にご回答いただき、安心して運営を続けることができました。
日々の業務の中で生じる悩みや疑問についても、気軽に相談でき、いつもすぐにご対応いただけることを大変心強く感じています。日々の運営を支えていただき、本当にありがとうございます。」
小澤:
「日頃のやり取りの中では、いかがですか。」
森井:
「岸本様からいただくご質問が、『保護者交流会を行うとき、注意する点は何ですか?』というように、安全で安心な運営に重きを置いたものばかりで、ポイントが絞られているのでお答えしやすい。そして、お伝えしたことをきちんと運営に反映してくださっているのが伝わってきます。
私たちが目指しているのは、後ろめたさのない健全な運営をしていただくためのアドバイスですので、まさにそれを体現してくださっているお客様です。」
—これから開業を考えている方へ、メッセージをお願いします。

小澤:
「これから放課後等デイサービスや児童発達支援の立ち上げを考えて悩んでいる方が目の前にいたら、生山さんはどんなふうに放デイラボを紹介してくださいますか。」
生山様:
「やっぱり、圧倒的な経験と実績です。どういう組織がうまくいって、どういう組織がうまくいかなかったのか。相当な数を見てこられていますし、うまくいかなかった事例もたくさんご存知のはずです。それって、日々運営している私たちには絶対に拾えない情報なんですよ。ネットで調べても、AIに聞いても、出てくるのは表面的な情報だけ。その裏側にある本当の部分は、放デイラボさんのような積み上げのあるところにしかありません。」
小澤:
「開業前には、なかなか見えてこない部分ですね。」
生山様:
「そうです。そして、この事業はしくじれないんです。何かが起きてからでは手遅れで、閉所しないといけないレベルの話になる。石橋を叩いて渡らないといけない事業だからこそ、そこはケチってはいけない。実際、私の周りで開業の相談を受けたときも、小澤さんにおつなぎしました。」
小澤:
「ありがとうございます。想いを持って参入される方に、伝えたいことはありますか。」
生山様:
「この業界は、原体験のある方が多いんです。本当に困っていて、なんとかしたいというエネルギーを持っている人が多い。でも、想いがあることと実務ができることは、絶対に一緒ではありません。
ゼロイチを作る想いがあるなら、実務は別のプロとチームを組んで、組織としてプロフェッショナルを目指さないと、利用者さんにちゃんとした価値は提供できない。スタッフが生き生きと働けるためにも、プロに任せつつ、学びつつ。それが大事だと思います。」
—今後の展望と、放デイラボに期待することを教えてください。

生山様:
「事業が広がるほど、制度対応の重みも増していきます。定期的に報酬改定や制度改正がやってきますし、きちんと教育して価値を提供できていない事業所は、これから難しくなっていくとも感じています。
だからこそ、『行政の方向性はこうなっていますよ』『その経営の仕方、人員配置だと危ないですよ』という情報を、先取りして教えていただけると助かります。採用のことも含めて、先を見通しながら相談していきたいですね。」
小澤:
「定期面談の機会をさらに有効活用していただけるように、こちらからもどんどんご提案できるように頑張ります。実は私にとって、生山さんは夢を叶えてくださった大恩人でもあるんです。若い頃に法律家を目指した理由の一つが、『プロ野球選手の代理人になりたい』でした。行政書士になったいま、元プロ野球選手の“行政の代理人”をやらせてもらっている。30年越しに、形を変えて夢が実現したんです。これからも、全力でサポートさせていただきます。」
生山様:
「そう言っていただけるとうれしいですね。もう一つ、私たちの展望としてお話しすると、いま『イキゴコチのいいまちづくり』を掲げて、大津の街で任意団体を作り、社会実験のような取り組みをしています。
人の可能性は環境で変わると思っているので、街ごと環境を創っていけたら理想だなと思っています。生きづらさを抱える人たちにとって「心地いい街」とは。その問いと向き合いながら、大津の街を動き回っています。
シーズステップとしては目の前の子どもたちと本気で関わって、楽しい時間を作る。その積み重ねが街であり、日本であり、未来だと思っているんです。その活動を続けるためにも、実務のプロである放デイラボさんに、これからも支えていただきたいと思っています。」
編集後記
生山様、貴重なお話をありがとうございました。
今回のインタビューで印象的だったのは、「想いがあることと、実務ができることは一緒ではない」という言葉でした。
元プロ野球選手という異色の経歴から、妹の岸本様とともに知識ゼロで福祉の世界へ。それでも開所からわずか2か月で定員に達し、現在はシーズステップ 2nd BASEの展開へと歩みを進められている背景には、「任せる部分」と「自分たちでやる部分」を明確に分けるご兄妹の役割分担と、複雑な制度対応を安心して任せられる放デイラボの存在がありました。
ネットにもAIにも出てこない“生の情報”。しくじれない事業だからこそ、その価値は大きい──経営者としての生山様の言葉には、これから開業を目指す方への大切なヒントが詰まっているように感じます。
「目の前の子どもたちと本気で関わることの積み重ねが、街をつくる」。大津から始まるシーズステップの挑戦と、皆様のさらなるご発展を、心より応援しております。
インタビュアー:榎本元(株式会社グットアップ)
